通院前チェックをしてみる

HIVと肺の健康状態

HIVや治療が肺感染症に
どのような影響を及ぼすのか、
その他の要因とあわせて理解し、
肺の健康を保つようにしましょう。

肺の病気について

肺の病気には次のようなものがあり、発症のリスクは年齢と共に高まります。

  • 結核
    結核菌により生じる感染症。深刻な疾患だが適切な抗菌薬治療で治癒が可能
  • 肺がん
    国内でのがん死亡1位のがん腫で、80%以上を占める非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2種類がある。主因は喫煙
  • 喘息
    気道に炎症が起こり呼吸困難を引き起こす、一般的な病気。子どもからお年寄りまで幅広い年齢層でかかる。イエダニなどのアレルゲンやたばこの煙などの刺激物、胸部感染症などが主な原因
  • 慢性閉塞性肺疾患 (COPD)
    長期の喫煙で肺が受けた損傷などが原因で発症する、呼吸困難が引き起こされる病気

肺の病気のリスクの評価

発症の危険性は、次のような方法で評価されます。

  • 生活習慣
  • 聴診
  • X線検査
  • ピークフロー値の測定
  • 結核の検査
  • HIV治療薬の見直し

喫煙が及ぼす影響

喫煙は、肺がんや、HIV感染者に合併しやすい慢性閉塞性肺疾患 (COPD) など、肺関連の病気の主な原因です。

また、別の疾患を引き起こしたり、感染症からの回復を遅らせたりすることもあります。
喫煙者はたばこの本数を減らすか禁煙し、必要に応じて主治医に相談しましょう。

喫煙はHIV感染者における死亡リスクの増加に関連している

生存率(HIV感染の有無、喫煙状況別)
(デンマークのコホート研究 海外データ)

喫煙はHIV感染者における死亡リスクの増加に関連している
35歳のHIV感染者の平均余命(喫煙状況別)
喫煙状況 AGE  (95% CI)
現在喫煙者 62.6 (60.9-64.9)
前喫煙者 69.1 (67.5-71.2)
非喫煙者 78.4 (71.9-84.9)

Helleberg M et al.: Clin Infect Dis 2013; 56 727.

Adapted and translated by permission of Oxford University Press on behalf of the Infectious Diseases Society of America.
OUP and the IDSA are not responsible or in any way liable for the accuracy of the translation. Gilead Sciences K.K. is solely responsible for the translation in this publication/reprint.

HIVと肺との関係

HIVへの感染が及ぼす影響

HIVは肺の病気の直接の原因ではありませんが、肺に少なからず影響を及ぼします。

HIVに感染していることで免疫力が低下し、また、喉や肺の感染症にかかりやすくなり、エイズ発症の指標疾患である肺炎や活動性結核、反復性肺炎、リンパ性間質性肺炎などを起こす可能性があります。

HIVの治療が及ぼす影響

HIV治療を受けることで、HIVの量を減らす、あるいはCD4陽性細胞の数を増やすことができ、感染症の重症化を避けることにつながります。

なお、結核を発症した場合、HIV治療薬を変更する必要があるかもしれないため注意が必要です。

肺の病気と診断された場合

結核や肺炎、気管支炎など一部の肺の病気は、適切な治療を受ければ治ります。
必要な治療や免疫力を高める方法については、主治医に相談してみましょう。