U=U がもたらすもの
自分を守ることが、誰かを守ることにもつながる。そんな新しい時代の知識についてご紹介します。
U=Uで広がる
もっと、あなたらしい生き方
監修:
仲村 秀太 先生
琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学講座 第一内科
高久 陽介 さん
特定非営利活動法人日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス代表理事
「大丈夫」という事実をあなたに
~医学の進歩がもたらした確かな希望~
これまで不安を抱えながら治療を続けてきたあなたへ
いま、医学は大きく前進し、不安を安心へと変える確かな希望をもたらしています。
自分を守ることが、誰かを守ることにもつながる
そんな新しい時代の知識についてご紹介します。
U=Uとは
近年、HIVの治療は大きく進歩し、「血中のウイルス量が200コピー/mL未満の状態を6か月以上維持していれば(Undetectable:検出限界値未満※)、他の人に性行為を通じてHIVを感染させることはない(Untransmittable:HIVに感染しない)」ということが明らかになっています。これを「U=U」と呼んでいます。
「U=U」は、国際的に実施された複数の大規模臨床研究によって実証され、WHO(世界保健機関)やUNAIDS(国連合同エイズ計画)や日本エイズ学会、厚生労働省でも支持されている医学的事実です。
※血液中のウイルス量が検出できないレベル
令和6年度厚生労働行政推進調査事業費補助金エイズ対策政策研究事業HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究班『抗HIV治療ガイドライン』2026年3月, p.6
U=Uは、HIV陽性者の方に、安心とさまざまな選択肢をもたらします。HIVに感染していない方と変わらない生活をおくることができます。性別や性的指向にかかわらず、パートナーとの関係において、性行為を通じてHIVを感染させる心配はありません。また、お母さんがHIVのお薬による治療を継続し、妊娠前から妊娠期間中、出産時を通して血液中のウイルス量が検出できないレベルである場合、妊娠中に赤ちゃんへHIVが感染するリスクはありません1)。
U=Uの科学的根拠(海外データ)
治療により血液中のウイルス量が検出できないレベルに維持されているHIV陽性者の方を含む男性同士のカップル782組、異性のカップル548組を対象にした研究において、コンドームを使用しない性交渉が同性間で約76,000回、異性間で約36,000回行われましたが、陽性者の方からHIV陰性パートナーへの感染は1例もありませんでした2,3)。
Rodger AJ, et al. JAMA 2016; 316(2): 171-181. 著者にギリアド・サイエンシズ社より支援を受けている者を含みます。
Rodger AJ, et al. Lancet 2019; 393(10189): 2428-2438. 著者にギリアド・サイエンシズ社より支援を受けている者を含みます。より作図
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U=Uを実現するためには
治療の継続がU=Uを達成・維持します。
U=U Japan Project : U=Uって何?より一部改変 https://hiv-uujapan.org/summary/(2026年2月24日閲覧)
Source: U.S. National institutes of Health/National Institute of Allergy and infectious Diseases. Used with permission.“10 Things to Know About HIV Suppression”.National Institute of Allergy and Infectious Diseases. March 25,2025. https://www.niaid.nih.gov/diseases-conditions/10-things-know-about-hiv-suppression(2026年2月24日閲覧)
HIVの治療を開始してから、血液中のウイルス量が検出できないレベル(検出限界値未満)になるまでには、1か月から6か月かかるとされています。その状態をさらに最低6か月以上維持していれば、性行為によって他の人にHIVをうつすリスクはゼロになります。U=Uを達成して維持していくためには、薬を医師の処方通りに服用し、定期通院を続けることが大切です4,5)。
U=Uを医療従事者と共有することが治療を続ける力になります
U=Uを目指すことは、治療を続けるモチベーションにつながります。そのときに支えになるのが医療従事者との対話です。医療従事者から情報を聞き、自分の生活や気持ちに合った治療について一緒に考えていくことが、無理なく治療を続ける助けになります。
実際に、HIV陽性者の方を対象とした大規模な国際的な研究で、U=Uについて医療従事者と話したことがある陽性者の方は、話したことがない方と比較して、治療への前向きな気持ちが強く、心身の健康状態も良好であり、必要な相手に自分の状況を共有できている割合が高いことが報告されています6)。
U=UのQ&A
薬を飲み忘れたらどうなりますか?
A.ウイルスが増え、U=Uを維持できなくなる可能性があります。飲み忘れに気づいたときや不安なときは、早めに医師に相談しましょう7)。
U=U達成後もコンドームは必要ですか?
A.U=Uで防ぐことができるのはHIVのみであるため、他の性感染症を予防する目的では、コンドームの使用が必要です8)。
一度U=Uを達成したらずっと安全ですか?
A.治療薬を正しく服用することで、ウイルスを抑えた状態を保つことができると考えられます9)。一時的に数値が少し上がる(200コピー/mL未満)ことがあっても、すぐに数値が戻れば治療への影響はほとんどないとされていますが、200コピー/mL以上の数値が続く場合は医師と相談して詳しい検査を検討しましょう9)。
また、U=Uは性的接触のみに当てはまります。
パートナーへの伝え方は?
A.U=Uは二人の安心につながる大切な情報です。検査結果を見せながら話すのもひとつの方法です。伝え方に迷うときは、医療従事者と一緒に考えていきましょう。ある調査では、U=Uについて医療従事者と話した経験がある人ほど、パートナーなど必要な相手に自分の状況を共有できている割合が高いことが報告されています6)。
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専門医からのコメント
琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学講座 第一内科
U=Uは、HIVと共に生きる方の毎日から不安を遠ざけ、前向きに自分らしく生きるための大きな力となります。一方で、日本の陽性者の方で主治医とU=Uについて話したことがある方は58.7%にとどまり、諸外国に比べ十分とは言えません6)。
診察室ではつい遠慮してしまうこともあるかもしれませんが、私たち医療チームはあなたの不安や「これからどう生きていきたいか」という思いに、一番近くで寄り添いたいと思っています。
「U=U」のことはもちろん、どんなに小さなお悩みでも、ひとりで抱え込まずに、聞かせてください。
当事者からのコメント
特定非営利活動法人日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス 代表理事
HIV陽性を知ってから長い間、「相手に感染させてしまうかもしれない」という怖さから、人とのつながり、特に恋愛やセックスに対して臆病になってしまう気持ちを抱えていました。
しかし、U=Uを知ってからは、心の中で「おまえは感染源なんだ」と自分を責め続ける必要がなくなりました。今では真面目に治療を続けている自分を褒めながら、自分らしく前向きに生きていこう!と思えるようになっています。
当事者以外のほとんどの人はU=Uについて知らないため、新たなパートナーと出会うことや親しい人に打ち明けることには、相変わらず難しさを感じます。それでも、U=Uは単なる知識ではなく、自分自身を過小評価することなく生きていくための「知恵」なのだと信じています。
お役立ち情報・サービス
U=Uについてもっと知りたいと思ったとき、誰かに聞いてほしい、誰かに伝えたいと思ったとき。あなたの力になる情報やつながりがここにあります。
■ U=Uや最新の情報を知る
U=U JAPAN (https://hiv-uujapan.org/)
【運営】特定非営利活動法人日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス
国内外のニュースや当事者の声を通じ、U=Uの正しい知識を分かりやすく発信するプロジェクトです。
■ つながる・相談する
Futures Japan (https://futures-japan.jp/)
【運営】HIV Futures Japanプロジェクト運営委員会
HIV陽性者が企画段階から加わり、当事者の視点で暮らしに役立つさまざまな情報が入手しやすい環境づくりを目指した総合情報サイトです。
ぷれいす東京 (https://ptokyo.org/)
【運営】特定非営利活動法人ぷれいす東京(支援団体)
対面・電話相談や居場所づくりを行う団体。当事者も周囲の方も安心して悩みを共有できる場を提供しています。
■ UUコンシェルジュ
https://www.treatyourself.jp/uu_concierge/
日々の治療管理をサポートする情報をLINEでお届けします。 「服用・通院日・自立支援医療制度の更新」といったリマインド通知に加え、治療にまつわるお役立ち情報も受け取ることができます。診察時に伝えたいことを整理できるメモ機能や、体重・検査値などを記録する機能も備え、治療の継続をさまざまな面からサポートします。利用は無料で、友だち追加だけで始めることができます。
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〈参考文献〉
1) WHO. Role of HIV viral suppression in improving individual health and reducing transmission. https://iris.who.int/server/api/core/bitstreams/16bc225d-c2ac-407c-a45b-4270acf1285f/content(2026年2月24日閲覧)
2) Rodger AJ, et al. JAMA 2016; 316(2): 171-181. 著者にギリアド・サイエンシズ社より支援を受けている者を含みます。
3) Rodger AJ, et al. Lancet 2019; 393(10189): 2428-2438. 著者にギリアド・サイエンシズ社より支援を受けている者を含みます。
4)U=U Japan Project U=Uって何?より一部改変 https://hiv-uujapan.org/summary/(2026年2月24日閲覧)
5) Source: U.S. National Institutes of Health/National Institute of Allergy and Infectious Diseases. Used with permission.“10 Things to Know About HIV Suppression. National Institute of Allergy and Infectious Diseases. March 25, 2025. https://www.niaid.nih.gov/diseases-conditions/10-things-know-about-hiv-suppression(2026年2月24日閲覧)
6) Okoli C, et al. Sex Transm Infect 2021; 97(1): 18‒26.
7) New York State Department of Health AIDS Institute. U=U Guidance for Implementation in Clinical Settings.
https://www.hivguidelines.org/guideline/u-equals-u/?utm_source=chatgpt.com(2026年2月24日閲覧)
8) Aidsmap. Undetectable viral load and HIV transmission. https://www.aidsmap.com/about-hiv/undetectable-viral-load-and-hiv-transmission (2026年2月24日閲覧)
9) 厚生労働行政推進調査事業費補助金エイズ対策政策研究事業 HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究班『抗HIV治療ガイドライン』2026年3月, p.6
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